大石さんの話を全て聞き終えてもなお、私はまだ信じられない気持ちでいた。

あの時から、大石さんが私を想っていてくれたなんて。

抱き締められて眠った日、手を出されなくて落ち込んだあの日の真相も知る。

聞きながら、大石さんの想いに涙が溢れた。

「…沙耶香ちゃん、戻って来てくれる?

俺、もう沙耶香ちゃんいないとダメなんだ。
沙耶香ちゃんにお帰りって言ってもらえないと頑張れない。一緒にアイス、食べてくれないと頑張れない」

私の頬を両手でそっ、と包み込んで、その親指で涙を拭ってくれながら、ちょっと困ったように微笑み私を見つめる大石さん。

溢れる涙で大石さんが滲むけれど、私は一生懸命その瞳を見つめ返して、

「…はい…」

そう答えた。