ー沙耶香ちゃんのことが気になり出したのは、多分あの日から。

隼の店でいつもは淡々と飲んで食べてる沙耶香ちゃんが、あの日は食事もそこそこにやけに早いペースでかなりの量を飲んでるのが分かって。
心配で、その時一緒に飲んでいた女の子を駅まで送り届けてから沙耶香ちゃんのお酒に付き合った。
仕事で大きなミスをして、落ち込んでいるけど彼氏にも誰にも甘えられず1人でひたすら飲むその姿が妙に心に残って。
いつもは女の子を連れて隼の店に行くのにそれ以来俺は沙耶香ちゃんと飲むために1人で行くようになった。

その半年後、久しぶりに会った沙耶香ちゃんが、彼氏に振られて傷ついて、それでも人に甘えたり頼ったりすることもできないでいるのがもどかしくて、俺は期間限定彼氏を申し出た。

今思えば、その期間限定という肩書きが俺を苦しめた。
沙耶香ちゃんに好きな人が出来たら終わる関係。
そんな危ういバランスのもと、半ば強引に始めた同居生活。