全部勘違いだったなんて…

「…俺、あの時、梅茶漬け食べた時、言ったよね?沙耶香ちゃんいなくなったら困るって」

寂しそうに笑う。

「俺、沙耶香ちゃんのこと…ずっと好きだった。期間限定彼氏を申し出る前から、本当はずっと好きだったんだ」

大石さんが、私のことを…?
突然の告白に、身体を射抜かれたように動けない。

「…ここじゃなんだから、とりあえず、ホテルで話そうか」

そう言って大石さんは固まっている私の手を引き、路地を出てホテルに入って行く。

大石さんがフロントの人に部屋は空いているかと声を掛けて、空いている部屋のカードキーを受け取りエレベーターで部屋へ向かう。

向かった先はスイートルームのようだったが、大石さんの家と何ら変わりない感じのするその部屋構えに、あまり驚きはしなかった。

そしてソファーに座るよう促されて、すとん、と腰を下ろすと大石さんも隣に座る。

「…どこから話そうか」

そう言って大石さんは少し考える素振りをして、それから静かに話し出したー