愛しても、いいですか

ーーーー

ーー

業務中も大石さんの最後のあの顔が頭に焼き付いて離れず、全然集中出来なかった。

副社長室から戻ってきた私に須崎さんは興味津々で、何の話だったの?大丈夫だった?と探りを入れて来たが、大した用事じゃありませんでした、と曖昧に濁してやり過ごした。

今日こなさなければいけない仕事は定時より30分オーバーで何とか不備なく終わらせて、由紀と待ち合わせしているロビーに急ぐ。

今日は外で食べて帰ろう、今朝、由紀がそう提案してくれた。
私を気遣ってくれてのことだろう。

ごめん、お待たせ!と、ロビーのソファーでスマホを弄っていた由紀に駆け寄る。

「ううん、全然!今日どこで食べる?」

そう言って立ち上がる由紀。

会社近くにはかなり色々なカフェやレストランがある。
ランチとディナーではまた雰囲気もメニューも違うことから、今日はランチでよく行くイタリアンの店に行ってみよう、ということになった。