「…はい。先輩は手伝うって言ってくれたんですけど、自分が頼まれた仕事なのにそれをお願いするのは申し訳ないので…」

ずびずび鼻を啜りながら答える。

「…沙耶香ちゃん、それは重症だ…もう、1人で頑張る癖がついちゃってる…」

そう言うと大石さんは額に手を当てて軽く溜息を吐く。

「…よし、沙耶香ちゃん、これから人に甘えたり頼ったり出来るように練習をしよう」

…はい…?練習…?
ぽかんとする私にお構いなしに大石さんは続ける。

「次に沙耶香ちゃんに好きな人や彼氏が出来た時、まあ、仕事の時もそうだけど、1人で頑張らないで相手に甘えたり頼ったり出来るようになるための練習」

… 相手に甘えたり頼ったり出来るように…

「まずは手始めに、俺に甘えたり頼ったりする所から始めよう?
…だから、沙耶香ちゃんに次に好きな人ができるまで、俺を沙耶香ちゃんの彼氏にして?」


大石さんは私の目をじっと見つめて、次の瞬間にはにっこりと甘い笑顔で突然そんな言葉を言い放ったー