「…2人で行くの?」

「あ、たぶん…高校の仲が良かったメンバーで上京してきてるのは私と慎太郎しかいないので…」

「…ふーん…」

さっきまであんなに楽しそうだったのに、急につまらなそうになった大石さん。

理由の分からない私は焦る。
とりあえずこの場を和ませようと、昔から可愛げがなかったんだなーあははーと笑ってもらおうと思ってした話がさらに地雷を踏む。

「あ、あの、慎太郎って私の初恋の相手で!」

大石さんの目がすっ、と細くなった。

えー…どうして…
でももう引っ込みのつかなくなった私はそのままの勢いで続ける。

「卒業式に告白しようとしたんですけど、告白する前に冗談ぽく、『沙耶香みたいな可愛げのない女、彼女にしてくれる奴いるのかよー』って揶揄われちゃって、告白前に玉砕したんです」

目を細めたまま無言の大石さん。その圧に耐えかねて、

「…あの、これ、昔から可愛げなかったんだなー、あははーみたい笑ってもらおうとしたエピソードだったんですけど…」