転性悪役令嬢~昼は少年、夜は少女~破滅フラグ回避頑張ります

 しかし、目立ったというか、運がいいなぁってことでうまいこと落ち着いてるよ?
 八男も意外とやるやつなんじゃないの?って声が全然聞こえてこない……。ん、じゃぁ、もう、ラッキーだけで優勝した男とかでもいいのかもしれないなぁ。
 1Fを見る。
 皆がいつの間にか腕につけていた布を取って手にもってぐるぐる頭の上で振り回している。
 声が聞こえなくても「頑張れリザーク!」
 と全力で応援してくれているのが分かる。
 私、こんなに誰かに応援されたことなんてあったかな。あ、身内は別でね。
 前世にだってなかった。
 よし。優勝しよう。
「両者、開始位置へ」
 学校中の人に注目される中、開始位置に着く。開始の合図で、剣を構える。
 相手は、何年何クラスの誰なんて知らない。
 剣の構えは、さすがに決勝まで進むだけのことはある。
 微動だにしない。相手に先に動かせるタイプか。
 ……だとすると、相手が攻撃を仕掛けきた剣をいなすという戦い方はできない。
 どれだけの実力があるか分からない……。兄1や兄4との訓練を思い出す。大丈夫。格上との戦いは慣れてる。勝とうと思わなければ、剣を避けることならば得意だ。
「はっ」
 こちらから動くことにした。
 大きく一歩を踏み出す。
 ふにゃぁーっ。
「たぁっ!」
 なんじゃこりゃぁ、足元に穴開いてるとか、思いっきり踏み込んだら、グラっと、グラっとなったわ!ちょ、まった、まった、!
 相手の剣が私の背中に当たる。
 ああ、力加減してくれて、ぽんっと軽く当てられただけだ。
「勝者赤!」
■55
 審判が赤い旗を上げた。
 うわーい、負けちゃったよぉぉぉ。
 ごめん、ごめん。対戦場所は整地されてるだけに、まさか穴があるなんて思わなくって、穴に足を取られるとかっ。
 いっそ、全部が凸凹な地面ならこんなミスしないのに……。
「わははははっ、見てみろよやっぱりラッキーだけで決勝戦に進んだだけのことはある」
「1回も剣を振ることなく終わったぞ、面白いもん見せてもらったぞー」
「いや、でもラッキーが重なったって言っても、1年が決勝戦進出なんて前代未聞じゃないのか?」
「聖剣と呼ばれたアルフ様ですら、1年の時は準決勝で敗れたのではなくて?」
 まじ?ごめん、お兄様……。どうやら記録を塗り替えてしまったようです……。