転性悪役令嬢~昼は少年、夜は少女~破滅フラグ回避頑張ります

 どれほど膝をつこうとも……そして、剣を手から取り落としそうになっても……諦めずに戦って見せるから。優雅でもなくて、かっこよくもなくて、汚くてみじめでみっともなくて、挙句に最後は負けちゃったとしても。
 1回戦だけは勝ちたい。
 絶対に勝つ。
 初めは、フレッドを怒らせないように1回戦は勝たなくちゃって思ってたけど……。
 今は、ただ、ただ、純粋に勝ちたい。
「一人は……」
 ふと口をついて出た言葉。
 それに、クラスメイトが気が付いて声を合わせる。
「「みんなのために」」
「「「「みんなは」」」」
「「「「「「「一人のために!」」」」」」
 こんなちょっとしたことが嬉しい。
 ああ、そうだ。私は、小学部で友達らしい友達も仲間らしい仲間もいなかった。
 友達……そう、小学部入学まではマルヴェルっていう友達がいた。それからは、兄たちが仲良くはしてくれたけど、友達はいなかった。
 隣に並ぶフレッドの顔を見る。
 攻略対象の第二王子で、発狂死フラグが付いて回る黒い王子だけど……。
 それから、マージの顔を見る。
 粗雑で人のさらに勝手に唐揚げ積み上げるうるさい男だけど……。
「友達になれてよかった」
 ん?って顔でフレッドとマージが私の顔を見た。
 で、なぜか、サーシャが悔しそうにこっちを見る。
「と、友達なのは、その二人だけじゃないと、思いますわ!」
 あ?
 そうか。うん。そうだ。
「サーシャも友達。みんな、大事な友達だっ!」
「あったりまえだろう!だから、お前のことを心配してるんだ。頑張れよ、だけど怪我をするところは見たくないからな!行ってこい!」
 マージが私の背中をバシンと叩いた。
 いってぇー。
「ちょ、出場前に怪我するだろっ」
「あ、わりぃわりぃ、」
「あはははは。緊張感がないね。いつものことだけど」
 フレッドが笑うと、クラスメイトも笑う。

 競技場には、テニスコートくらいの大きさの対戦場所が4か所用意されていた。
 トーナメントの初戦から3回戦までは4か所に分かれて行う。4回戦目、つまり準決勝から1か所で行う。
 ……あれ?ってことは、2回戦勝つと、もう次は準々決勝なのか。ベストエイトなのか。そりゃ、1年生が2回戦突破は難しいはずだよ。
 で、私は第二コート……じゃなくて、対戦場所の、第1試合ね。
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