転性悪役令嬢~昼は少年、夜は少女~破滅フラグ回避頑張ります

 上級生の表情を見ると、にやりと笑ったり、クスクスと笑ったり、何かささやきあっている人間もいる。
 なぜか5点を出した先生を、他の4人の審査員が驚いた顔で見ていた。
 まさか、5点満点を出すなんて、信じられないという顔をして見た。
 採点基準が分からないのに、審査員を疑うなんて、目が曇るようなことを考えては駄目だ。
 フレッドたち、最後の選手の型の披露が始った。
 ――型の見本のような動きだ。
 サーシャのは芸術的な美しさがあると思った。
 フレッドは機械的な正確さがある。そう、金属のような研ぎ澄まされた型。
 やはり、他のクラスの選手より、頭2つ分はとびぬけているように”私”には見える。
 だが、点数は、3点3点4点2点5点だった。
 頭二つ分劣っているように”私”には見えるクラスの選手よりも、低い。
 5点をつけた教師を、他の審査員が今度は睨みつけた。
 その目は「なぜ5点を出したんだ」「勝手なことをするな」「Fクラスには5点はつけない決まりだろう」とでも言っているように見えて……。
 点数操作、Fクラスというだけで、点数操作が行われているとは考えたくはない。
 だけれど「ない」とはっきり言える確証もない。
「審査員ってよ、全員剣の先生なんだよな。見る目のない教師に何が教えられるっていうんだ。俺は、あの人以外先生だとは認めねぇ」
 マージが怒りをにじませ5点をつけた先生を指さした。
「うん……あの先生に教えてもらいたいね」
 点数操作が本当に行われたか行われていないかは分からない。
 だけれど、マージの言う通りだ。
 私が最高だと思ったサーシャとフレッドの剣の型の良さが分からない人間に剣を教えてもらいたいとは思わない。
 
 剣の型班が戻ってきた。
「期待に沿えず、申し訳ありませんでした」
 結局剣術班は、合計点で最下位になってしまった。
 フレッドが頭を下げると、他の選手も頭を下げた。
「おい、フレッド、お前の型は完璧だったぜ!感動した!」
 マージがバンバンと背中を叩く。
 それで、選手たちが顔を上げた。
「サーシャの型があまりに綺麗だったから、もっと見たかった」
 サーシャに声をかけると、嬉しそうに笑う。
 フレッドが、他の三人の選手の顔を見た。
「この3人も、練習を始めてとてもうまくなったんですよ」
 と。
 言われた一人が涙を流した。