転性悪役令嬢~昼は少年、夜は少女~破滅フラグ回避頑張ります

 マージが振り下ろす。
 ……す、すげぇ!なんという連携プレー!
 なんていうの?高速餅つきを思い出す。
「なんだ?よくあんなペースで割れるな」
「そろそろ限界なんじゃないか?」
「だよなぁ。手がしびれて木刀持つのもつらくなるぞ」
 ひそひそと別のクラスからささやかれる。
 マージ以外の打撃班の子たちも、ややスピードは落ちるものの補給班の子と息を合わせて割っている。
 で、10回ほど割って、マージが手を止めた。
 タオルを手に取る。
「もう限界みたいだぜ?」
「今頃タオルを木刀に巻く気か?」
「はじめだけだな、勢いがいいのは」
 くすくすと笑い声がもれてきた。
 マージがタオルで手や額の汗を拭いている間に、補給班の子がレンガの山から、手に取りやすい場所にレンガを運んでいる。
■44
 ある程度運び終わったら、またレンガ割り再開。
 なるほど。
 ワンクールレンガ割り10回、それをこなしたらレンガの追加時間に、打撃班の子は休憩を繰り返すわけだ。
 うん、ペースを守るのはいいことだよね。
 で、他のクラスは……というと。
 バケツの水に手を浸して冷やしている人がいるね。肩にぬれタオルを当てている子もいる。
 すでに、補給班の人たちはレンガも並べ終わり、やることはやったと見守っているだけの人も多い。
 打撃班の子が、並べられたレンガの移動しながら割っていく。
 確かに、うちのようにレンガを運んでいる間打撃班が何もできない時間があると無駄のように見えるかもしれないけど……。土台がある場所で、足場を定めて狙いをつけて同じように打つ方がね、圧倒的に……安定感がある。
 打ち損じが少なくて済むから、手に響く負担も軽くなる。
「すごいね、ねぇ、フレッド。うちのクラスすごいね」
 テンポよくレンガを割っていく打撃班。打撃班もすごいけど、補給班もすごいよ。
 3つのレンガを重ねて土台の上に崩れないように素早く乗せるのだって、相当訓練が必要だったはずだ。
 割れたレンガを瞬時に取り除くのだって、大変だと思う。
 マージたちほどのスピードはないけれど、他の子たちも、それぞれの打撃班の子のペースに合わせてレンガを積んでいる。
 競技時間の半分が過ぎたころに、差ははっきりとしてきた。
 他のクラスの子たちのほとんどが、休んでいる。