転性悪役令嬢~昼は少年、夜は少女~破滅フラグ回避頑張ります

「ありがとうございます」
 紅茶を飲みながら、母が話しかける。
「家の名誉のためとか、代表に選ばれたからと気負わなくてもいいんですよ」
 小さな優しい声。
「はい」
 本当は、1回戦負けたくらいで、フレッドは発狂させるくらい私を恨むようなことはしないってわかっている。
 だけれど……。
「やれるだけのことはしたいんです」
 クラスが一体となってやる気を出しているのに……。どうせ負けるんだし。頑張っても仕方がないなんていう気持ちでいたら、フレッドは私という人間を見限るだろう。
 ……ん?
 見限られて、何が問題?……あ、うん、何か問題があったときに、私を信用できなければ、私に疑いの目を向けるよな。私が何かしなくても、嵌められることは大いに考えられる。ってか、そんなこと考えたくないけど、あわわわ。とりあえず、信頼を得なければならない。
 見限られるようなことしちゃだめだ……。
 関わってしまったからには……。むしろ、誰に何を疑われても「リザークがそんなことするわけないっ!」と言ってかばってもらえるだけの仲になれるといい。
 ……死亡フラグ怖い……。涙。
 兄1と兄4の打ち合い見る。
 兄1は兄4の剣をうまく避けながら、攻撃を仕掛けていくスタイル。
 まぁ、兄4の剣筋は結構単調なので避けるのは割と楽ではある。だけれど、兄1のように技とスピードがないと、ただ避けるだけになってしまう。反撃できない。
 逆に兄4は、兄の攻撃を受け止め、はじき返したところに攻撃を仕掛ける。
 パワーで押されると、さすがに兄1も一瞬動きが鈍るので、そこを見逃さない。これまた、兄4ほどパワーがないとできない戦い方だ。
 うーむ。
 うーむ?
 むむ?
■34
「お兄様、今度はわたくしが相手をいたしますわ」
 二人が一息ついたところで声をかける。
「大丈夫かい、リザ?」
「ええ、アルフお兄様。少し休んだので大丈夫ですわ」
 兄たちに笑いかけると、兄4がぱぁぁっと表情を明るくした。
「そうか。うん、じゃぁ、来い!」
 木刀を構えた兄4の肩を兄1が叩く。
「いいか、リザは今は女だからな。いつものように剣を思い切りぶつけたらどうなるか分からないから気をつけろよ!」
 と、くぎをさされた兄4がおうと自信なさげに返事をしている。
「いくぞ、リザ」
 と、振り下ろされた剣は、スピードがいつもの10分の1。