転性悪役令嬢~昼は少年、夜は少女~破滅フラグ回避頑張ります

 だってさ、謎マスク男にしごかれた人も、練習時間を無駄にしてしまったっていって、取り返さなきゃとか言って、痛めた体を引きずって、あ、いや、引きずるほどの怪我ではないんだけど、それでも、動くと痛みが走るからだで練習してるんだよ?
 だから。うん。
「剣の握り方は……」
 とりあえず、初心者に剣の握り方から教えることにします。はい。今まで兄たちに何かを教えられるばかりだったから、こうして誰かに何かを教えるのはとっても新鮮。思わず時間を忘れて……。
 はぁ!
 やばい!
 まじで時間忘れてたよっ!
 気が付けば、太陽が、太陽がぁぁぁ!
 なんか補給班がよいこらしょ、どっこいしょと薪を運んできたので気が付いた。第七訓練場には照明施設がないから、暗くなってからも使うには火をたかないといけないらしい。
 って、暗くなってもみんな練習しちゃうわけ?
 私はまずい。太陽が沈んだら、呪いが解ける。
 こんなところで女に戻っちゃったら、中等部生活1日で、1日でクラスメイトにばれちゃうっ!
 あほもいいところだよっ!しかも、第二王子(発狂死)がいる前で悪役令嬢姿をさらすとか、何のための、呪いなのか!
「僕、そろそろ帰るね。ごめん、家で、兄に練習をつけてもらうからっ」
 いそげ。夕日よ、もうしばらく待ってくれ。待ってくれ!
 体操服から制服に着替える時間はなさそう。
 教室に行って、カバン持って……教室が、遠い!第七訓練場だから仕方がないんだけど、遠いよっ!
 やばい、太陽が、太陽がっ。
 カバンをひっつかんで、教室を出て階段を駆け下り、昇降口で、どっかーん。
 しりもち。
 うわー、人とぶつかった。下駄箱で人がいるの見えなかった。
 私はしりもちをみっともなくついて、ぶつかった人は、しりもちをつかないように踏ん張って、前によろめいて私の上に倒れ込んだ。
 いや、さすがに誤ってチューしちゃうような倒れ方はしないよ。どんなラブコメだよっ!
 両手を床……じゃない、片手は床、もう片手は私の体の上についた。
 と思ったら、すぐにパッと手を離して、床についた手を軸にくるりと床で一回転して立ち上がった。
「す、す、す、すまない、その、このお詫びは……できうる限りのことは……」
 すんごく焦った声。
「いや、ボクがよく周りを水に走っていたのが悪いんだ……」
「僕?え?君、女の子……だよね?」