転性悪役令嬢~昼は少年、夜は少女~破滅フラグ回避頑張ります

 いつもは、兄が剣のけいこの相手をしてくれるけど、私を溺愛する兄だもの。本気なんて出すわけない。
 ……だけど、剣術大会は相手は本気で来るよね?
 運よく、捨て駒な1年生が対戦相手になればなんとかなるかもしれないけど、果たして、高学年に勝つことはできるの?
「これは、ますます、トーナメント戦が楽しみですね。リザーク、応援しますよ!」
 ひゃいっ。
 フレッドが、フレッドが、勝てと目で命じている。うごごご。
 こ、これで、もし1回戦負けしたら……やばいです。黒い煙がもうもうと立ち上り、せっかく悪役令嬢をやめたと言うのに待っているのは、待っているのは……発狂死……かしら……。
 練習せねば。あと1週間……。
「どうしたの?何があったの?」
 ソフィア先生が倒れている生徒たちに声をかける。
 そうだった、謎のマスク男が現れたんだ。そのことをソフィア先生に生徒の一人が告げると、額を抑えた。
「骨が折れないように絶妙な力加減がされていると思うけれど、痛めたところはすぐに冷やしたほうがいいわ……」
 どうやら、ソフィア先生の知っている人のようだ。そして、以前もこのようなことがあったんだろうか。
 生徒の半分が保健室へと足を運ぶことになった。
 残った生徒の気持ちが折れるかと思うと、そうでもなかった。
「リザーク、すごかったよ。僕ら補給部門も絶対に頑張るからっ!」
「私たち素振り班も、負けない」
 士気は上がっていた。なんで?やっぱりマスク男の嫌がらせに負けるもんかって奮起したのかな?
■29
 てなわけで、授業後もみんな残って自主的に訓練。
 素振り班はメトロノームみたいなもので、リズムを合わせて素振り、素振り。
 型班は、フレッドを中心に型のチェック。修正していく。
 で、レンガ班は、レンガ割りが禁止になった。割りすぎて練習用のレンガが品切れだそうだ。
 補給班は、他の学年の先輩のところに情報収集に走っている。
 ぶっちゃけ、当日どういうことに気を付けて動けば点数が稼げるのか謎だからだ。ある程度は先生が教えてくれるけれど……。
 私は、トーナメントは一人だけなので誰かと一緒に練習するわけじゃないけど、一人だけ帰るのも申し訳なくて、付き合っている。