転性悪役令嬢~昼は少年、夜は少女~破滅フラグ回避頑張ります

 兄1くらい動きが速い上に、兄4くらい重そうな剣なんだもんなぁ。
 ガツンと受けると、衝撃で次の動きが鈍りそうだもんなぁ。そうすると、
「またよけたか。生意気な。これならどうだ!」
 ぶん、ぶん、ぶん、ぶん。
 今度は4回。よけます、さけます、にげます、距離を取ります。
 あちゃー。受けるどころか、どんどん距離を取ってしまう。
 ダメだ。これじゃぁ。
■28
 他の生徒たちは、逃げずに受けようと頑張っていたのに。私は、つい、痛いだろうなぁって思うと、体が逃げちゃう。
 うう、次は逃げずに受けよう。
 もう一度、木刀を構え直し、マスク男に先を向ける。
「ふんっ。女みたいな顔して、逃げることだけは器用なようだな」
 また、女みたいっていった。くそーっ。男らしく、受けたやるってば。今度は逃げないっ!
 マスク男が振り下ろした木刀の真正面で木刀が十字に重なるように剣を受ける。
 くはっ。
 手に激しい衝撃が走る。
 一回剣を受けただけなのに、手に力が入らない……。
「みんなぁー、送れてごめんなさいっ!」
 ソフィア先生の声に、はっとすると、その瞬間にマスク男は姿を消した。
「剣術大会、少しは楽しめそうだな」
 という声を残して。
 はぁ?どういう意味だろう。このいじめのようなしごき……F組を剣術大会でもいたぶるつもりだろうか?
「おい、すごかったな、リザーク!よくあの剣を何度もよけられたな!」
「よけられたというより、ついよけちゃったんだけどね……受ける勇気がなくて……」
 マージの言葉に、正直に答える。
「いや、あれだけよけられるだけでも素晴らしいと思いますよ」
 フレッドがにこやかに笑う。
 っていうか、他の生徒たちは次は自分がしごかれる番かとおびえた顔してるのに、二人とも涼しい顔してるね。うん、きっと剣の腕に自信があるんだろうね。
 騎士志望だっけ、マージ。フレッドはゲーム内では高等部は騎士科じゃなかったけど、騎士科の生徒もかなわないような実力の持ち主的な感じで描かれてたよねぇ。
「ありがとう。でも、逃げてばっかじゃ倒せないし、全然だめだよ」
 今回は受ける稽古だったけど、模擬戦だったら、ただ逃げてるだけじゃ負ける。
 かといって……。
 まだしびれている手に視線を落とす。
 まともに剣を受けても、次の手につながりそうにない。
 こ、これはあかん。