転性悪役令嬢~昼は少年、夜は少女~破滅フラグ回避頑張ります

「そうだ、言い忘れていたが、今日の稽古は、我を倒そうとはするな。お前たちの実力では我を倒すことなど100万年かかっても無理だ。だから、まずは、我の剣を受けることだけを考えろ」
 え?
「まずは女子が相手か。男どもは〇んた〇ついてんのか!」
 ついてるよっ!
「まぁいい。いい面構えだが――」
 マスク男が木刀を振り上げ……いや、振り上げたように見えただけで、それはフェイクで、振り上げる途中に横に払った。
 がすっ。
 鈍い音がして、サーシャがくの字になって地面に倒れた。
 横っ腹に当たったようだ。
 ああ、あれは痛い。もろ入ってる。
「次はお前だ。ちゃんと受けろよ」
 木刀で指名された男子が身構えた、と思ったら、あっという間に後ろに吹き飛んだ。
 マスク男と生徒の距離は4mはあっただろうに。一瞬で男は距離を詰めたのだ。
 速い。
「次は君にしよう」
 視線を向けられた女子は震える手で木刀を構える。ああ、今まで一度として剣の練習などしたことのないのは明らかな構えだ。
 マスク男はただまっすぐと、女子の肩に剣を振り下ろした。
「あっ」
 木刀を取り落とし、肩を抑えてうずくまる女子。
 ……なんだよ、これが稽古か?
 剣を持ったことのない人間には、まず剣の持ち方や構え方を教えるもんじゃないのか?
 こんなの……稽古っていうよりも、しごきじゃないか。いいや、しごきであればどこかに指導する意図がある。
 どこかを抑えて次々にうずくまり倒れる生徒たち。
 これじゃぁ弱いものいじめだ。
 F組いじめなのか?
 教師までが?
「次は、お前にしようか。女みたいな顔をしているが、その面構えは男か?」
 女みたいな顔は余計だっ!
 男のような面構えってなんだよ。今、私は怒った顔してるだけだよっ。ん?怒ると男らしい顔になるってこと?
 ほうほう、これはいいことを知った。
「余計なことを考えてる余裕なんてあるかな?」
 ぶんっと、風を切る音がして木刀が右下からカーブを描くように手元に向かってきた。
 うわっ。
 あ、受ける練習だっけ。よけちゃった。
「よけた、か。だが、これならどうだ?」
 今度は左上から。よけるとその先に今度は木刀が襲ってくる。
 うわ、うわ。
 しまった。受けないといけないのに、またもやよけちゃった。
 だって、なんかな。