「そうですね、お姉様……リリアーナは鼻がいい。シナモンに、トリュフ……香木も見つけましたよね」
「竹の香りも好きだわ。若竹の匂い。それから、マッチを擦ったときのちょっと臭い匂いも癖になって好き」
エイト君が笑った。
お金の匂いがするものは全部好きなんて言ったら、軽蔑されるだろうか。
だけど、お金の匂いがしないものだって、好き。
世界で一番好きなにおいはお金なんて関係ない。
「エイト君、私の一番好きなにおいを知ってる?」
エイト君が、うーんと首をかしげる。
「お肉の焼ける匂い?」
確かによだれをたらしちゃったことがあったかも。
「甘い樹液の匂い?」
そうね、それもあった。あれも商品化できないか今開発中ですよ。メープルシロップって言うんですって。
っていうか、なんで食べ物の匂いばかり上げるの?
エイト君の記憶の中の私って、どんな人間なのよっ!
「おいしい物の匂いも、お金の匂いも、それから花の匂いに、雨の匂い、それから土の匂い……好きなにおいはたくさんあるけれど……サラにはいい匂いだと思わないって言われたけど、私にとっては何よりもいい匂いに感じられるの……」
一歩前に出る。
「僕の知ってる匂い?」
そっと、手を伸ばして、エイト君の頬に触れる。
会わなかった1年で、さらに背が伸びて……。私よりも頭一つ半は背が高い。
「うん……あ、もしかしたら知らないというか、分からないかも……。一番、エイト君が知らない匂いかもしれない」
「僕が知らない」
エイト君がちょっとムッとした顔をする。
「リリアーナの好きなものを知らないなんて嫌だ」
私、もう、婚約者のいない身ですから……。
だから、いいよね。
子供だという言い訳もできないけれど……。
いいよね。
両手を広げて、ギューッとエイト君に抱き着いた。
「はー。いい匂い。なんで、エイト君ってこんなにいい匂いするんだろう」
生徒たちから悲鳴やため息や色々な声が上がった。
けど、どうでもいい。
「え?え?ぼ、僕の匂い?あの、その……く、臭くないですか?兄上が婚約破棄をする話を聞いて、その、すごく急いで、走って汗もかいたし……」
エイト君の焦った声。
「おい、何してるんだよ、まさか、二人は前からそういう関係で、俺を陥れたのか?」
元殿下が、私の肩をつかんでエイト君から引き離した。
「竹の香りも好きだわ。若竹の匂い。それから、マッチを擦ったときのちょっと臭い匂いも癖になって好き」
エイト君が笑った。
お金の匂いがするものは全部好きなんて言ったら、軽蔑されるだろうか。
だけど、お金の匂いがしないものだって、好き。
世界で一番好きなにおいはお金なんて関係ない。
「エイト君、私の一番好きなにおいを知ってる?」
エイト君が、うーんと首をかしげる。
「お肉の焼ける匂い?」
確かによだれをたらしちゃったことがあったかも。
「甘い樹液の匂い?」
そうね、それもあった。あれも商品化できないか今開発中ですよ。メープルシロップって言うんですって。
っていうか、なんで食べ物の匂いばかり上げるの?
エイト君の記憶の中の私って、どんな人間なのよっ!
「おいしい物の匂いも、お金の匂いも、それから花の匂いに、雨の匂い、それから土の匂い……好きなにおいはたくさんあるけれど……サラにはいい匂いだと思わないって言われたけど、私にとっては何よりもいい匂いに感じられるの……」
一歩前に出る。
「僕の知ってる匂い?」
そっと、手を伸ばして、エイト君の頬に触れる。
会わなかった1年で、さらに背が伸びて……。私よりも頭一つ半は背が高い。
「うん……あ、もしかしたら知らないというか、分からないかも……。一番、エイト君が知らない匂いかもしれない」
「僕が知らない」
エイト君がちょっとムッとした顔をする。
「リリアーナの好きなものを知らないなんて嫌だ」
私、もう、婚約者のいない身ですから……。
だから、いいよね。
子供だという言い訳もできないけれど……。
いいよね。
両手を広げて、ギューッとエイト君に抱き着いた。
「はー。いい匂い。なんで、エイト君ってこんなにいい匂いするんだろう」
生徒たちから悲鳴やため息や色々な声が上がった。
けど、どうでもいい。
「え?え?ぼ、僕の匂い?あの、その……く、臭くないですか?兄上が婚約破棄をする話を聞いて、その、すごく急いで、走って汗もかいたし……」
エイト君の焦った声。
「おい、何してるんだよ、まさか、二人は前からそういう関係で、俺を陥れたのか?」
元殿下が、私の肩をつかんでエイト君から引き離した。


