貧乏国の悪役令嬢、金儲けに必死になってたら婚約破棄されました【短編】

「リリアーナが好きだっていうことは、どうせ口から出まかせだ。お前と結婚すれば王座が転がり込んでくるんだ。お前みたいな可愛げのない女でも、好きだと適当に口説いて手に入れれば、王になれるとなれば誰だって好きだと言うだろうよ」
 可愛げのない女……。
 そう、元殿下は私のことをずっとそう思っていたんですね。
 確かに、女性らしいかわいさはなかったかもしれません。
 国のためにと、お金を稼ぐ方法ばかり考えていれば可愛くもないでしょう……。
 そう、可愛くないんです。
「エイト君……」
 だから、エイト君が私のことを好きだなんて……。
 側にいてほしいなんて……。
 やっぱり、国のために、私が王妃になって、エイト君が王になれば、国が安定するだろうから、そう言ってくれただけ……なんだよね。
 きっと、今私の目も不安で揺れてる。
「信じてくれないかもしれませんが……僕は……お姉様のことがずっと」
 お姉様という言葉にハッとなる。
 そうだ。
 一緒に旅した。
 旅の終わりには、いつももっと一緒にいたいと天使は泣いていた。
 あれが全部嘘なんて思えない。嘘だったはずはない。
「エイト君……一つだけ教えて……どうして、一緒に旅をしようと思ったの?」
 エイト君が相変わらず不安そうな顔をして、ゆっくりと口を開く。
「兄上の……」
 ちらりとエイト君が元殿下の顔を見た。
「婚約者となる人がどんな人なのか……気になって。その、姉になる人が、嫌な人だったら困るから……確かめようと……」
 エイト君が底まで言うと、ぷぅっと大きな吹き出す音が聞こえた。
「嫌な人が姉になると困ると思って見に行ってみたら、素敵な人が姉になるのが今度は困るって泣き出したんだよなぁ」
 ケタケタとドーンが笑い出した。
「ド、ドーンッ」
 エイト君が慌ててドーンの名を呼ぶ。
「どうして兄上の婚約者何だろうって。僕のお嫁さんになってほしいって、ぷぷぷっ」
 嘘……。
 エイト君は……私のこと、そんなに昔から……。
「初恋ってやつでしょうねぇ。まぁ、そんなんで、エイト坊ちゃんの気持ちに嘘がないのは俺が保証しますよ」
 ドーンがドンっと胸を叩いた。
 いや、ダジャレじゃないですよ。

「私……いい匂いが好きなの……」
 エイト君が小さく頷いた。