貧乏国の悪役令嬢、金儲けに必死になってたら婚約破棄されました【短編】

「あははは、バカみたい。ああ、バカみたいなのは私よ。ファルコ、あんたは本物の馬鹿。私は確かに庶民だけど、生活に困るほどの貧乏人じゃない。こんなドレス、何着も買えるくらいには裕福な商家。ただ、同情を買うために貧しいふりをしてただけ」
 ええええ?
 あの、高価なドレスを何着も買えるほど裕福?
 確実に、王家に嫁ぐよりも豊かな生活ができるのに、なんで妃になろうとしたんだろう。
「さようなら、元王子様」
 バイバイと手を振って振り向きもせずにミリーさんは去っていった。
 つ、強い……。なんだか利益にならないと判断すればさっさと断ち切っていく……商売人の鏡じゃない?
 ミリーさん凄腕商人なのでは……。
 あっけに取られてミリーさんの後姿を見送っていると、何を勘違いしたのか殿下……いや、元王子殿下?まだ殿下なんだっけ?
 元婚約者のファルコ様が私の手を取った。
「さぁ、もう一度婚約……いや、俺たちは十分長い間婚約期間を経たし、リリアーナも今日で学校を卒業するわけだ。すぐに式を上げようとかまわないだろう」
 は?
「兄上、未婚の婚約者でもない女性の手に、許可もなく触れるのはマナー違反ですよ?」
 エイト君の言葉に元殿下がカッとなる。
「はっ。リリアーナが俺を好きなのに、許可もくそもあるか!」
 いや、待て待て、ここははっきりさせておかないと。
「リリアーナは……兄上のことが好き、なのか?」
 エイト君の目が不安に揺れている。
 ちょ、信じる?ねぇ、信じちゃうわけ?
 大きく首をぶんぶんと降る。
「好きじゃないです。それは先ほども言いました。殿下に恋などしておりません」
 私の言葉に、なぜか周りの生徒たちが大きく頷いている。
 うんうんうんと。
 いやぁー、証人がたくさんいるパーティー会場でひと悶着起こしてくれた元殿下に感謝しなくちゃね。
「よかった。じゃぁ、僕と婚約を」
 と、エイト君が口を開くと元殿下がエイト君をぎりとにらみつけた。
「そんなに俺を王座から引きずり下ろし、王の位につきたかったのか!リリアーナ騙されるな!こいつがさっき言ったことは全部嘘だ」
 え?
 エイト君が嘘?