貧乏国の悪役令嬢、金儲けに必死になってたら婚約破棄されました【短編】

 だけど、きょとんとして使い方が分からないみたいな顔をしてたんで、「こうするのよ」と、扇子のようにあおいで涼むための物だと使い方を教えたこともあったかもしれない。
 ……だから、それが、何の嫌がらせなの?


「庶民だと馬鹿にするだけでは飽き足らず、まるで下僕のように、こうして自分をあおぎなさいと、指示するなど何様のつもりだ!」
 はぁ?
 いや、私をあおげなんて言ってない、言ってない。ミリーさんの勘違い……。
 っていうか、ちょっとばかし、ミリーさんって、被害妄想ひどすぎない?
 なんで、勝手に言葉の裏側みんなマイナスに受け取る?
 庶民だって馬鹿にして……ひどいわ!って、一度も馬鹿にしてないのに、めっちゃ馬鹿にしたことになってるっ!
 怖いわ!
 ねつ造より、思い込みが怖いわ!
 何、その、思い込みオンパレード!
「いただいた団扇、夏場は本当に助かってますわ」
「分かる分かる。使い出すと扇子には戻れないよな。風の量が違って、涼しいの何の」
「値段もお手頃で、扇子の30分の1くらいの値段でしょ?庶民の間でも大人気だそうですわね」
「隣国ではまだ物珍しくて少々値がはるそうですけれど」
「ですから、うちは、隣国へ出向くときにはお土産として持って行くんですわよ。とても喜ばれますもの」
「竹で作られた家具類もうちでは手放せない」
「軽いから持ち運びも楽だし、思ったより丈夫だろう?」
 そうです。木よりも軽いので、輸出するときの運搬コストも安く済みます。まぁ、軽いんだけど、椅子一つとってもかさばるので、薄利多売というわけにもいかないのがネックですね。
 うちわはその分薄利多売。庶民にも手が届く値段設定で、隣国にも売込中。主に暑い国にですね。
 今は、寒い国に向けて、雪の上を歩きやすくする「かんじき」という商品を売込中です。竹を熱して曲げて輪っかにして……と、まぁ割合簡単に作れる品です。本当は隣国に売らずに秘匿しようという意見もありました。
 雪の上を歩けるっていうことは雪が積もると戦争を中断するという常識を覆して敵国に攻め込むこともできるという……なんかそういう話とかも出てきて。
 でもね、それって、逆に言えば……。寒い国が日常使うアイテムというだけじゃなくて、戦争が起きたときの備えとして、雪が降らない国にも売り込めるっちゃぁ、売り込めるっていう話じゃない?