貧乏国の悪役令嬢、金儲けに必死になってたら婚約破棄されました【短編】

『毎回、とても美味しそうなお菓子をお召し上がりになっています。今日は特別に良い香りがしたので、どのようなお菓子を食べているのかと気になり、リリアーナ様たちのお茶会を眺めていました』
 っていうか、ちょっと待って。
 ちょっと待って頂戴。
 もし、入学してすぐの4月15日だったとしたらよ、そもそも殿下とミリーさんの中を嫉妬して説が崩壊してない?
 ミリーさんと仲良くなったのって、もっと後じゃない?さすがに1年生の入学したてのころはふたりが仲睦まじくしている姿なんて見た記憶ないんだけど。
 それなのに、二人に嫉妬して嫌がらせとか、もうすでに主張が崩壊してる気がするんですけど……。
 ねつ造以前に、なんか矛盾しすぎてません?
『すると、リリアーナ様はじっと見ていた私に視線を向けておっしゃりました。「お一ついかがですか?食べたことのない味で、お口に合うか分かりませんが」……と』
 4月?
 お一ついかが?
 食べたことのない味?
 殿下が私を睨みつけます。
「証言も取ってある。その場にいた人間が何人も聞いている。言い逃れはできぬぞ」
 あ。
 身に覚え……ありました。
 確かに、言った。
「(試食会をしているので意見を聞きたいのですわ)お一ついかがですか?(シナモンを使ったお菓子など)食べたことのない味で、(苦手な方もいて)お口に合うかわかりませんがと、確かに言いましたが、それがどうかなさいまして?」
 お菓子を進めたことが、何の嫌がらせだと?
「はっ、開き直ったのか!盗人猛々しいとはこのことだな!」
 殿下、言わせていただけば、むしろ婚約者を取られたのは私の方であって、盗人はミリーさんの方じゃないかと思うのですが……。
「ミリーを傷つけようとして酷い言葉を投げつけておいて、その態度!」
 お菓子食べる?ってののどこが酷いのかっ!
「食べたいと言うのなら、恵んであげてもよろしくてよ、お一ついかがですか?貴方のような庶民がこれまで一度も食べたことのない味で、豚の餌しか食べたことのないあなたのお口に合うかわかりませんがと、そう蔑んだではないか!」
 ……は?
 いや、いや、ちょっと待て、ちょっと待て、ちょっと待て!

 殿下は先からギャーギャーと、言い逃れはできない、知らないとは言わせない、証拠はそろってるとか騒ぎ続けてますが。
 まったく周りが見えてませんよね。