貧乏国の悪役令嬢、金儲けに必死になってたら婚約破棄されました【短編】

 特別会計……それ、周辺諸国との取引で得た金だぞ。冬を越すための食糧を買い付けたりする大切な金だぞ。
 ……ん?
 ま、て、よ?
「よかったですわね。二度とそのようなドレスは買っていただけないでしょうから。大切にした方がよろしくてよ」
 私、婚約破棄されたんだっけ。
 だったら、将来の王妃が国のためにと始めた事業に国を関わらせる必要はないのではないでしょうか。
 特別会計……周辺諸国との取引で得た金を、国に丸ごとリリアーナ基金として丸投げしてたけど。
 これからは、国に渡すのはやめよう。国がしてたことを直接公爵家でするだけですわねぇ。周辺国から食料を買い、国民が飢えないように……。
 うーん、でも他の領にも協力していただかないと難しいですわね。
「ファルコ様は何度でも私のためにドレスを買ってくださいますわ。買っていただけないのは、婚約を破棄されたリアーナ様の方ですわよ……」
 ああ、まぁ、そうでしょうね。
 買うことは買ってもらえるでしょう。殿下のお小遣いの範囲で。
 1年くらいお小遣いを貯めれば、まぁ、ドレスの1枚は買えるでしょう。でも、今着ているレベルの高価なドレスはどうでしょうねぇ。
「またか、またリアーナ、お前はミリーを罵ったな」
 は?
「今は俺がはっきりとこの耳で聞いた。庶民にドレスなど相応しくない、お前のような物は二度とドレスを着る資格はないと、そう言ったな」
 言ってません。
 なんか、とちゅで勝手な言葉がいっぱい追加されています。
「今回だけのことではないぞ。ミリー、証拠を突きつけてやろう」
 殿下に言われて、ミリーさんが一冊の本を取り出した。
 いや、本じゃない。ノート?
 殿下が、ノートをびしっとこちらに向けた。
『ミリーの日記』
 と、表紙に書かれている。
 日記?



「いいか、リアーナ。ここには詳細にお前のミリーに対する嫌がらせが記録されている」
 ……日記に、何があったか書いてあると、ただそれだけの話ですよね。
 記録って。
 日記が王家が婚約破棄を申し出るだけの証拠能力ってあったかな?
 そもそも、嫌がらせをした記憶ないんですけど。
 身に覚えないんですけど。
 日記なんて、いくらだってねつ造できますよね?
 ……ねつ造が後で発覚した場合、王家をたばかったということでやばいんじゃないでしょうね?