貧乏国の悪役令嬢、金儲けに必死になってたら婚約破棄されました【短編】

 まさか、殿下からのプレゼントなんてことはないですよね?
 ……側室は認めますけど、金のかかる側室は認められませんよ?
 ギリギリと奥歯を噛みしめる。
「素敵なドレスですわね?」
 いくらしたのか気になり思わずミリーさんに話しかける。
 すると、ミリーさんがガタガタと震えだした。
「ファルコ様、リアーナ様が庶民のくせにドレスを着てくるなんて恥知らずだと私を罵ります……」
 う?
 は?
 を?
 どこに「恥知らず」なんて単語が入ってました?
 罵るどころか、素敵だと褒めたよね?
 あれ?
「嫉妬か?醜いなリアーナ。確かにミリーは誰よりも美しいドレスを身にまとっている。だがそれは、ミリーがこの美しいドレスにふさわしいかわいらしさを持っているから当然ではないか!」
 ちょ、殿下、言っている意味が分かりません。
 って、その前に、嫉妬とかしてない。

「そうですわ。私に似合うからと、ファルコ様が特別にプレゼントしてくださいましたの。私がドレスを着ていることを罵るということは、プレゼントしてくださったファルコ様をも蔑むような行為ですわよ」
 ミリーさんが殿下の後ろに身を隠し、顔だけ出してぷんすか文句を言う。
 ……はぁー。
「随分高価そうなドレスですこと……」
 殿下のプレゼントか。やっぱり。
 頭が痛くなる。
「ふふ、そうよ。ファルコ様が国内一のデザイナーに頼んで特別に作ってくださったの。いくら公爵家のリアーナ様でも手が届かないくらいのドレスをと、張り切ってくださいましたわ」
 こめかみを抑える。
 ……いくらだ!
 いくらかかったんだ!
 ミリーさんに嫉妬心なんてこれっぽっちもない。
 だけど、王妃様は新しい靴一つ変えずに足から血を流しながら生活していると言うのに。
 陛下も、新しい洋服を作れずに、痩せてしまったにもかかわらずお腹に布を何枚も巻いて太いズボンをはいていると言うのに。夏は暑くてあせもだらけなのに。
 殿下は、そんな王妃様や陛下に新しい服の一つ、靴の一つもプレゼントすることもなく、ミリーに大金を……。
 そもそも、殿下に渡されている小遣いは、どこから出ていると思っているんだ?
 庶民の血税だぞ。
 ……といっても、まぁ、それだけでは足りないと、ミリーさんのドレスを買うために特別会計からお金を出してもらってるんでしょうね。