貧乏国の悪役令嬢、金儲けに必死になってたら婚約破棄されました【短編】

 金儲けの手段になれば殿下ももうちょっと魅力的になるのでしょうが……。



「ふっ、プライドの高いお前のことだ。俺が好きだなんて素直に認めないことは分かっていた」
 殿下が鼻でふんっとしました。
 いやいやいや、いやいやいやいや。
 プライドの高い殿下なので、自分のことが好きじゃないなんて素直に認めないんですね……と、返したくなりましたが、腐っても王子。腐敗しても王子。糞になっても王子ですから。流石にねぇ、言えませんよ。
 おっと、金の匂いがしないだけか、腐臭王子にしてしまった。いけないけない。
「とにかくだ、お前がミリーのことを目の敵にして数々の嫌がらせをしていたことは明白だ!」
 えー?
 まったく身に覚えがないんですけど。
「証拠もある」
 証拠?身に覚えがないのに、証拠があるっておかしくないでしょうかね?
「ミリー」
 殿下が、ずっと殿下の腕に腕を絡ませてにゃよにゃよしていたミリーさんに声をかけた。
 仲が、よろしいことで。
 ……それにしても、ミリーさんは庶民出の特待生だったはずですよね。
 卒業パーティーは、ドレスを着飾る人もいれば、制服で出席する人もいる。
 お金があればパーティーのために豪華にドレスを仕立て、学校卒業の想い出にするのだ。
 庶民は、お金もないし、中途半端なドレスを着てくると逆に見劣りがするというので、ほぼ制服だ。
 私?私はもちろん制服です。
 公爵家令嬢なのにという目もありますが。
「我が家の伝統ですの。制服を着られるのも今日が最後ですし。ドレスでしたら、これからいくらでも着られますから」
 って言っておけば、まさか、お金がないから豪華なドレスなんて作るの無理ーとか全然バレないから、不思議。
 ふふふ。父も母も私も兄も、顔だけは派手で豪華なので、貧乏くさく見えなくて得なんですよねー。
 伝統でとか、風習でとか、しきたりでとか、代々受け継がれた、とか言えば、古臭いドレスだって受け入れられちゃう。ふふふ。
 でもって、今日が制服を着られる最後という私の言葉に「そうよね!」と賛同した貴族子女さんも制服参加なんで、私が制服着てても自然なわけ。
 で、今年は例年になく、制服組が多い。
 その中で、なぜか一番派手なドレスを着てきたのが、ミリーさん。
 ……ミリーさんのその金がかかってそうなドレス、どうしたんでしょうね?