「そうそうそうそうそう!暴れて暴れて、やっぱり人間は踊り食いに限る。もっといい表情にさせてあげる」
そういうと男たちは口が裂け、みるみる化け物に変容した。虎や獅子に似ている。獣の様子。光る眼光。生え揃うインディゴの毛並み。グロテスクだ。こいつら一体何者なんだ。ヤバすぎる。はやくどうにか解かないといけない。何度も何度も何度も椅子を揺らす。解けない。
一瞬の事だった。
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」
一匹が僕に噛み付く。
寸前でもう一匹に止められる。助かった。
「俺が先だ」
それも一瞬の出来事だった。気がついたらその鋭い牙は僕の肩にめり込んでいた。そして遅れて耐え難い痛みに襲われる。
「ヴヴヴッッ!!」
痛い!激痛だ。涙も溢れる。
そのまま服ごと食いちぎらる。その瞬間はスローモーションに光景が映った。血が吹き出す。紅い真珠が弾け飛ぶように空中に舞う。僕の顔にもかかる。生温かい。
「ババババババッバッバババ!ググググッグウ!!!!」
苦しい!僕は精一杯の声を出した。しかし悲鳴を上げることも出来ない。
「嗚呼嗚呼嗚呼!美味美味美味!最高だ」
限界だ。誰か助けてくれ。
「俺もいただきます」
その時だった。限界だった。僕は意識を失った。朦朧とする景色の中で猿轡を噛み砕いて口の中が切れたのまで覚えてる。

気がついたら森の中にいた。血だらけで肩に痛みが走る。あれは夢ではなかったのだろうか、だが傷は本物だ。一体ここはどこだろう。さっきの化け物は何者なんだろう。あいつらはどこに行ったのだろう。また来るまでに逃げなければならない。
とりあえず歩いてみようか。