ことん


シャーペンを机に置いて、うーんと伸びをするとそれを待っていたかのように、麻子がパァッと笑みを零した。



「かーずっ!」

「はいはい…んじゃあ、帰り、たい焼きでも食べるかぁ」

「えー!やきいもー!」

「お前ねぇ…それは何気に色気ないだろ」

「…だめ?」


その上目遣いに弱いのを知ってるくせに、麻子はにっこり微笑んで、俺の腕に腕をより絡ませてから、鼻歌なんかを歌い出す。


「それ、誰の歌だっけ?」

「ん?……自作」

「へぇー…」


ぺちん


「いて」

「人に聞いといてどーでもいいって反応はなし!」

「はいはい」


ぷくっと頬を膨らませて。
そっぽを向く麻子。

でも、俺からは絶対に離れはしない…。
可愛い仔猫。