メガネをはずした、だけなのに


「綿貫さん、つき合ってくれる?」


「あの、あのあのっ!」


 相葉くんから告白されて日が浅いのに、梨木くんも私とつき合いたいだなんて。

 壁ドンされた状態で言われても、私の胸がドキドキして上手に話せないよ。


 そういえば、前に聞いた噂話を思い出した。

 この際だから、本人に直接だけど聞いてみよう。


「梨木くん、年上の彼女さんがいるんじゃないの?」


「あっ!知ってるんだ」


 悪びれもなく、軽い調子で言ってくる。

 罪悪感なんて皆無で、自分が思うまま行動してるみたい。

 告白してくれたのは凄く嬉しいけど、すっかり心のドキドキが冷めてしまった。


「彼女さんに見られたら、大変なことに……」


 私の言葉を最後まで聞かずに、梨木くんが言い放つ。


「先輩とは別れるから!」