メガネをはずした、だけなのに


「生徒会に所属してる女子の先輩から、綿貫くんに関係した悪い噂を耳にしたんでね」


「えっ……」


 まったく身に覚えがないけど、何の悪い噂だろう。

 気になってしまうので問いただしても、相葉くんは答えてくれない。

 あくまでも根拠のない噂話だからという理由で、真相は謎のまま。

 相葉くんは何も教えてくれない。


「嫌な予感がしたので、校舎の中を探し回ったのだよ」


 深い溜息をついた相葉くん、顔の表情を崩さないで話し続けた。


「委員長と副委員長で、これからも頑張っていこうではないか」


「そうだね」


 ちょっと、ごまかされた感じもしたけど、相葉くんは構わず話かけてくる。


「もう少し、意志の疎通が必要なのかもしれない」


「うん」


 お互い、体を向き合わせたまま話し続けてる。

 静寂に包まれた教室で、私と相葉くんの声が響く。



 どうしてだろう、ちょっと緊張でドキドキしてきた……