月灯りから逃げるように
路地裏 ひっそりたたずむ幻想ランプ店
本日も夜が深くなった頃開店


店内照らすは無数のランプ
そこに夜色の青年ひとり
手元照らすは鉱石ランプ



砕いた鉱石のカケラ
星屑草
煌めく夜の物語
ーー散りばめて


青年の手の中で
ランプが灯ります


サファイア
アクアマリン
ラリマー


青い鉱石が神秘的で美しい青を
紡ぎだします


「今宵は、疲れたときによく効く青い鉱石を使ったランプはいかがでしょうか。もっと深い青、淡い青がお好みなら無料で調整致します。

ーーお代ですか。お代はいりませんよ。ただし僕が気に入れば、ですが。

今宵は幻想ランプ店にお越しいただきありがとうございました。またご縁があれば、お会いしましょう」




幻想ランプ店は静かに
夜に溶けていく
まるで、紅茶に溶けていく砂糖のように