思い出はぬるま湯のよう
いつまでも浸かってたい
いつまでも微睡んでいたい


そこにあるは影(ざんぞう)
そこにあるは在りし日の夢
もう届かないと知っているはずなのに


掠れた声で貴方の名を呼ぶ
何度でも
繰り返し
繰り返し――


もう振り返ってはくれないと
知っていても……


夏の夕暮れ

夏椿

風鈴


幻想に暮れ果てて
涙が頬を伝う


そこに貴方はいなかった