旅人は物語を求め始める――
それは果たして幸せの始まりか
悲劇の始まりか……


「物語を集めてるんです。かき集めてつくった自分がたとえ虚像だったとしても、空っぽよりはいい。だって、なにも持たないのはなによりおそろしいことですから」



空洞の心ではなにも見えない
――なぜ? 自分がいつも一番の悲劇者だから



旅人は隙間から吹く風を厭う
――なぜ? あたたかい記憶を持たない旅人はなにもかも当たり前に持っている者を呪った
「どうにでもなれ」と