見張りの衛兵を適当にやりすごし、俺は遅ればせながらナコを追いかけた。

城の外に出るには門を通るしか道はない。
そう思ったが、門には当番の衛兵がちゃんと立っていた。

「おい!ここを誰かが通らなかったか?」

呼びかけにまったく反応せず、俺は衛兵の肩をつかんだ。だが衛兵は立ったまま寝ているのか、目を閉じている。

「これは……、魔法で眠らされている?」

目を凝らしてよく見れば、うっすらと魔法のオーラが見えた。

さっきの女か?
だったら王も魔法で操られている?

そんな風に考えて、すぐさま否定する。
先ほどの二人はそんな風には見えなかった。
ナコの言っていたように、愛人のようだった。

一体何を企んでいるのだろう。

それにナコだ。
本当に無茶ばかりするお姫様だ。
別の世界から来たなら一人でどうしたらいいかわからないはずなのに、なぜか生き生きとしている。

しかも俺を“おし”だとか訳のわからないことを言ってことあるごとに好きだとかなんだとか。

見た目はシャルロットなのに、シャルロットだったはずなのに、もう俺にはナコにしか見えなくなっている。

というより、今のナコは昔のシャルロットに戻ったみたいだ。