「はっ、すみません。ありがとうございます」

「……あなた、眠らないと思ったらその宝石に護られていたのね」

「え、これ?」

胸元の欠けた宝石。
落ちたものは粉々になってしまったけれど、ペンダント部分にはまだ少しだけ残っている。

「それ、魔道具ね」

女性は私とネックレスを交互に見る。

この人、魔道具がわかるんだ。
ていうことはもしかして魔女?
さっきの良い香りももしかして魔法……とかそんな感じだったり?

「こんな夜更けに一人で歩くなんて危ないわよ」

「すみません。助けてくださってありがとうございます」

私はペコリとお辞儀をする。
すると女性は腕組みをして不敵に微笑んだ。

「ところで私をつけているみたいだけど、なぜかしら?王女様?」

「あ……」

ヤバイ!
バレてる!
ていうかこの人、私が尾行してた謎の女性だったんだ。
全然気づかなかった。
何という失態か。

「ちょうどよかった、あなたに会いたかったのよ。一緒に来てもらえる?」

断ることを許されない状況に、私はただ従うしかなかった。

ごめん、アズール。
深追いしすぎたみたいだ。