だから私も少しだけ抗うことにする。
これはシャルロットに対する嫉妬というか対抗心なのかもしれない。

「私がアズールに協力することは構わないんだけどさ、私にも何かご褒美がほしいんだけど」

「褒美?何がほしい?」

「そうだなぁ、どうしようかなぁ?」

私がむむむと腕組みをして考えると、アズールは呆れた顔をする。

「考えてないのか。可笑しなやつだな」

「違うの、迷ってるの」

「何を?」

私は殊更真剣な顔でアズールに望みを突きつけた。

「頭ナデナデか、ぎゅってハグしてもらうか。どっちがいいかな?」

しん、と部屋が静まり返る。
時の流れを思い出すかのように、アズールが言った。

「何だそれは。物じゃないのか」

「重要なことでしょう!推しに頭ナデナデとかキュン死レベルよ!」

「ナコ……言っている意味がわからないのだが、それでやる気になってくれるならいくらでもしてやる」

アズールはおもむろに立ち上がると、私の前まで来る。そしてポンと私の頭に手を置いた。
大きくてあたたかい温もりが伝わってくる。そして二回、髪を撫でられた。

「ひ、ひえええ!も、もう死んでもいい!」

「死ぬならもうしない」

「い、いえいえいえいえ、死にません。尊いです!」

「……おかしなやつ」

アズールは笑いながら、また私の頭を撫でた。