「ではこちらに」

「いや、大丈夫です。一人でできますから」

服の着替えすら侍女が手伝おうとしてくるので大変にやりづらい。しかも断るとあり得ないといった顔をするものだから、困るというか心が痛むというか……。

ていうか、着替えくらい一人でさせてほしい。
静かなドレスならワンピースと似ているし、手伝いなんかいるわけがない。そもそも手伝ってほしいならこっちから声かけるし。

って、これは私が一般人だからなんだろうな。王女様はこれが普通なのか。……王女様って面倒くさいんだな。

どこに行くにしても侍女か護衛を伴わなければならないと聞いて、生きづらさマックス。
確かに王女様だから、何かあっては困るものね。それはわかるけど何ていうか常に監視されている感があるというか煩わしいというか。

だけど、この護衛というのがどうやらアズールのことらしく、それを聞いた瞬間に私のテンションは爆上がりした。

このアズールこそ、私の推しである騎士団の若き団長、アズール・ランベールその人である!

ジャジャーン!って効果音入れたいくらいだ。