「じゃあ、また来ます。あんこさん、ありがとうございました」


秘書の前田さん。


時間がある時に通ってくれて『あんこさん』って呼ぶくらい仲良くなってる。


本当にあんこさんのパンが大好きみたいだ。


「ありがとね~また来てちょうだい」


私達は、店を出る前田さんの後ろ姿を見送った。


「前田さんのご実家のロイヤルミルクティー、大人気ですね」


「本当に美味しいし、うちのパンと合うのよね~」


最近、あんこさんは茶葉を仕入れ『前田さんちのロイヤルミルクティー』としてカフェで出している。


茶葉の販売もしてて、どちらもリピーターが続出で売り上げはかなり好調だ。


「私も大好きです。あんこさんのパンと前田さんちのロイヤルミルクティー」


「ありがとね。そう言えば前田君、彼女ができたらしいよ」


「本当ですか!? すごい! 全然知らなかったです」


「雫ちゃんになら言ってもいいかな。あのパンのイベントの時に告白されたんだって。京都の幼なじみの子らしいけど、イベントで頑張ってる姿を見て『ずっと前から好きだった』って…言ってくれたんだって」