「さっきまで半信半疑だったんですけど、本当に会えるんですね…」


「そうだよ、会えるんだよ。最近、ずっとうちにも来てもらえてなかったしね。良かったね、雫ちゃん」


「はい。ずっと本当に仕事が忙しくて、海外にも行って…たまたま大きな事業の契約とかが重なったみたいです。毎週月曜日の配達も、あんこさんのパンはずっと前田さんの胃袋に消えてましたから」


2人で笑う。


「そうだったね。でも前田さん、おかげでうちのパンのファンになってくれたもんね。イベントの時もかなり売り上げに貢献してくれてたし」


確かに、毎日買ってくれてたな、しかも大量に。


一緒に働くスタッフなんだから少しくらいサービスするのに『それはいけません! 店長さんのパンのファンとして、キチンとお金を払います!』って…


メガネをキュッと整えて、真面目過ぎる顔で言ってたのが面白くて…すごく可愛かった。


「前田さんって本当に誠実で素敵な人ですね」