慧君はちょっとはにかんで下を向いた。


「恥ずかしいよ。パン教室とか必死だったから、焦ってるとこ見られてないか心配」


楽しかったけど、やっぱり最後まで気は抜けなかったから。


「頑張ってたよ。子ども達と触れ合う姿、雫ちゃん、すごく可愛かった」


「や、やめてよ。可愛いなんて、ないない。可愛いのは私じゃなくて子ども達だから」


ほんとだよ、私なんか…


「子ども達も、もちろん可愛いよ。だけど、やっぱり…俺にはいつだって雫ちゃんしか目に入らないから。笑顔の雫ちゃんが、誰よりも1番だから」


周りに人がいないからって、慧君の大胆な言葉にちょっと戸惑うよ。


だけど、1番なんて言われて、本当は…ちょっとキュンとした。


実は、今日は果穂ちゃんはいない。


ゴールデンウィーク中は勉強に集中したいからと、イベントには参加しなかった。


残念だったけど、大学生はきっといろいろ大変なんだろうと思った。