僕も、チューハイのグラスを空にした。


飲まないといられない気分になる。


「すごいね、渡辺君は。ちゃんと自分の気持ちを伝えて…」


「すごくなんかないですよ。自分に自信ないまま告白して、ずっと心は晴れませんから。でも、もちろん、雫さんのことを諦めたわけではないし、なんか複雑で…」


「俺…今、君に勇気をもらった。年下の君にね。情けない25だよ」


「東堂さん…告白、するんですか?」


「近々、しようと思ってた。これは、本当。後は…勇気だけだったから。今、渡辺君に背中を押してもらえたよ。どうなるかはわからないし、正直、フラれる気しかしなくてちょっと怖いけどね」


切なげに笑う東堂さん。


本当に大人の魅力がある人だ。


この人が雫さんに告白したらって思うと、やっぱり不安になる。


東堂さんと雫さんが付き合ってしまったら…って。


でも、それも全部が『現実』。


そうなったらなったで、全て受け止めないと。


僕は…


東堂さんと話して、ますます恋愛という『複雑な迷路』に深く入り込んでしまった気がした。