わかってる。夫婦の問題に私は口を出すべき人ではないと。でも、このままでは料理ができない。手はずっと震えたままだったら必ずどこかで失敗してしまう。だから無理到底のことだけど、やらなければいけない。

私は母と父の所に行こうとする。

「俺の事はもうほっといてくれ!」

父がそう言ってダイニングテーブルの近くにあった、一つの椅子を母に目掛けて投げようとする。

母さんが、危ない!

私は母を庇うように父の前に立ちはだかろうとする。

その時だった。

ドンッ。

父が投げた椅子が私の頭に当たった。

私はそのまま床に倒れた。


目を覚ませば見えたのは見慣れない景色だった。

白色の天井。肌色のカーテン。

ここはどこ?

「よかった。母さんもう、清加と話せないのかと思ってた」

そう言って泣きながら私の体に抱きついてくる。

母さん?