その中にふと見覚えのある人物がいた。美華吏だ。

美華吏は真剣な顔をしながら熱心に勉強をしていた。

その顔を見て、勉強好きなのかななんてことを思う。

私は勉強は嫌いだ。つまらないし、未来の役に立つわけないからだ。

それなのに美華吏はまるでつまらないとか思ってなさそうに見える。

私は改めて不思議な人だと思った。

カウンターの方で貸し出しカードの管理をしていると、

「お願いします」

そう言って一人の男子が貸し出しカードを私に渡してくる。

私はそれを無言で受け取り、カードをまとめて保管している場所に入れた。

図書委員の仕事はこの他にも本の整頓や掃除がある。だから暇な時間が多い。私は本を読んで図書室を閉める時間を待つことにした。

そのあとも貸し出しカードを出しにカウンターに来た人は何人かいた。

読んでいた本に区切りがついてふと顔を上げると、図書室の中には美華吏と私しかいなかった。

時計はまだ四時半で完全下校の時間まではまだまだある。

私は気を取り直して本の続きを読もうとした。

すると、

「なぁ、清加。勉強教えてや?」