まさか……。

「作戦だったの。清加ちゃんに記憶を思い出させるための。本当にごめん!」

そう言って佳奈は頭を下げた。

確かに私はいじめと美華吏と母のおかげで記憶を取り戻すことができた。でも作戦だったとはいえ、いじめというのは度が過ぎていると思う。

「もう佳奈ったら無茶苦茶だよ」

「いきなり避けろとか言われて動揺したよ」

陽果と七生は笑いながらそう言っている。

確かに佳奈は意外なアイディアを思い付くことが多い。今回のは過剰だったけれど、それが美華吏と母がいたことで、うまい具合にいったようだ。

「ありがとね。思い出させてくれて。これからまた、よろしくね」

私はそう言って無理矢理笑顔を作った。

「ごめんね。これからもよろしく」

苦笑いを浮かべながら佳奈はそう言い、私達のもとを去っていった。