私は何か手がかりはないかと、ピアノをいろんな方向から見てみた。
もちろん、そんなのあるわけない。どこにでもある普通のアップライトピアノだ。
夕方というタイムリミットは近い。刻一刻と腕時計の針は進んでいく。焦らなきゃいけないのはわかっている。
私はピアノのふたを開けてみたり、引き出しを開けてみたりして手がかりを探した。
そして楽譜立ての裏を覗いてみた時にそれは見つかった。
一枚の写真だ。
二種類の花が一面に咲いている花畑。その真ん中にはなんの変哲もないアップライトピアノがあり、それを弾いている少年を撮った写真。
それを見た途端、瞳からは涙が溢れだしていた。
私はとても大切な記憶を、そして不思議な美華吏の正体を、やっと思い出したのだ。
*
____時はまた、五年前に遡る。
ある日の夏の夕方。リビングでは相変わらず父の浮気による、母との喧嘩が勃発しようとしていた。
私はというと、ある少年と一緒に階段の途中で怯えたように座り込んでいる。そして息を殺し、聞き耳をたてていた。
もちろん、そんなのあるわけない。どこにでもある普通のアップライトピアノだ。
夕方というタイムリミットは近い。刻一刻と腕時計の針は進んでいく。焦らなきゃいけないのはわかっている。
私はピアノのふたを開けてみたり、引き出しを開けてみたりして手がかりを探した。
そして楽譜立ての裏を覗いてみた時にそれは見つかった。
一枚の写真だ。
二種類の花が一面に咲いている花畑。その真ん中にはなんの変哲もないアップライトピアノがあり、それを弾いている少年を撮った写真。
それを見た途端、瞳からは涙が溢れだしていた。
私はとても大切な記憶を、そして不思議な美華吏の正体を、やっと思い出したのだ。
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____時はまた、五年前に遡る。
ある日の夏の夕方。リビングでは相変わらず父の浮気による、母との喧嘩が勃発しようとしていた。
私はというと、ある少年と一緒に階段の途中で怯えたように座り込んでいる。そして息を殺し、聞き耳をたてていた。


