水縹色(みはなだいろ)の春【1】

「ちょっとさなっ!!!!」

こころの声で我に返る。

さなが松井華の胸ぐらを掴んでいた。

周りにいた数人の人達も集まってきた。

「アンタ、るいと付き合ってるってマジ?」

「だからどおしたのぉ?」

松井華は、どこか勝ち誇った面をしていた。

バチーーンッ!!

さなが、松井華の頬をぶつ。

「調子こいてんじゃねぇよ!!」

「別にいいでしょ!るいが付き合ってもいいって言ってくれたんだから!」

そうなの…?

嘘だ…嘘だよそんなの。

「このクソビッチがぁ!!」

さなが殴りかかった。

私はとっさにその手を止めた。

「ダメだよさな…。」

さなの目がギロッと私を睨む。

ドンッ!!

「イッタ…。」

私はさなに勢いよく押し飛ばされた。

「なに?みおはコイツの味方?」

「ち、違うよ…!でも!」

「うっせぇ!!…偽善者は黙れ。」

ー割り込んだりすれば矛先がお前に変わる時だってあんだからな?
俺だったから良かったものの、他の奴らの喧嘩に無闇に首突っ込むなよ。ー

そうか…。

るいが言ってたことは、このことだったんだ…。

すると、大好きだったあの香水の匂いがほのかにした。

あぁ、どうしよ。

今会ったら、私、泣いちゃうよ…。

床に靴底を擦りながらゆっくり歩いてくる音が聞こえる。