水縹色(みはなだいろ)の春【1】

「イッテェ!!」

「あっ、ごめん!」

持っていた絆創膏をるいの口元に貼る。

私たちしかいない教室から静かさが伝わる。

皆んな今頃、午後の授業受けてるんだよね。

「お前あんま無茶すんなよ。」

「何が??」

るいは呆れた顔をしていた。

「いくら喧嘩してるとこ見たくねーからって、割り込んだりすれば矛先がお前に変わる時だってあんだからな?
俺だったから良かったものの、他の奴らの喧嘩に無闇に首突っ込むなよ。」

「るいだけだもん。」

あれ?

私何言ってるんだろ。

こんなこと言うはずじゃなかったのに、言葉が勝手に出てくる。

るいは不思議そうな顔をして私を見つめる。

「みお…。
お前、俺のこと好きなのか?」

「え!?」

突然の一言に焦って変な声が出た。

るいの真っ直ぐな瞳が、私の心に突き刺さる。

「…好きだよ…。
…好き。…ずっと好きだったよ。」

ついに言ってしまった。

自分で言って恥ずかしさのあまり顔を背ける。

すると、るいが近づいてきた。

私は壁に後退りする。

ひんやりとした壁が背中に伝わり、るいが私を覗き込む。

「だったらキスして。」

「は!?…できるわけないじゃん。」

するとるいは私から離れ、鼻で笑った。

「みおの好きは、"友達"としての好きだろ〜?…ほら、教室戻るぞ。」

違う。友達としての好きなんかじゃない!

そう言いたかった。

でも、言えなかった…。

私が一方的に好きで、るいは何とも思ってないのかもしれない。

自分の臆病さに嫌気がさす。

私の謎の告白は、発展することも何もなく曖昧のまま終わった。