「だから、言葉巧みに惚れさせろというのか? あまりいい考え方ではないな」
「兄さんは初子さんに好かれたら嬉しくないの?」
撫子の言葉にはたと止まる。
初子に好かれたら、嬉しいに決まっている。彼女があの堅苦しい表情ではなく、恋する女性の顔で俺を見つめるのを想像したら、指先まで血液がいくような温かな心地がする。
彼女にとって初めての恋の相手が、俺だとしたら。
「好かれたい人に好かれようと苦心するのは、普通のことだわ」
ぐうの音も出ない。妹に言い負かされるとは思わなかった。
同時に、すとんと腑に落ちたような感覚もある。
「兄さんは、難しく考えずに、初子さんに優しく接すればいいのよ。誰しも、自分に好意のある人を無碍にはできないものですもの。ねえ、恭」
「そうだね。出会った頃から惹かれ合っているふたりというのは珍しいかもしれないな」
「私と恭くらいよ、そんなの」
撫子と恭がいつものノリでいちゃつきだすので、俺は黙ってカツレツを口に運ぶ。
好かれたい相手には好意を見せる。
当たり前のことだが、俺にとってはちょっとした発見だった。
「兄さんは初子さんに好かれたら嬉しくないの?」
撫子の言葉にはたと止まる。
初子に好かれたら、嬉しいに決まっている。彼女があの堅苦しい表情ではなく、恋する女性の顔で俺を見つめるのを想像したら、指先まで血液がいくような温かな心地がする。
彼女にとって初めての恋の相手が、俺だとしたら。
「好かれたい人に好かれようと苦心するのは、普通のことだわ」
ぐうの音も出ない。妹に言い負かされるとは思わなかった。
同時に、すとんと腑に落ちたような感覚もある。
「兄さんは、難しく考えずに、初子さんに優しく接すればいいのよ。誰しも、自分に好意のある人を無碍にはできないものですもの。ねえ、恭」
「そうだね。出会った頃から惹かれ合っているふたりというのは珍しいかもしれないな」
「私と恭くらいよ、そんなの」
撫子と恭がいつものノリでいちゃつきだすので、俺は黙ってカツレツを口に運ぶ。
好かれたい相手には好意を見せる。
当たり前のことだが、俺にとってはちょっとした発見だった。



