独占欲に目覚めた次期頭取は契約妻を愛し尽くす~書類上は夫婦ですが、この溺愛は想定外です~

「うーん、この前のパーティーも気詰まりだったかしら。経験がないと、ああいった場は嫌よね」
「もっと堅苦しい場に出る機会も多いが、初子は仕事として励んでくれるだろう。しかし、私生活までカチカチだと、俺もな」

思いだされるのは先日の晩。拒まれてしまったことが、情けなくも尾を引いている。

「簡単だよ、連」

恭が整った顔立ちを悪だくみでもするかのように歪めた。

「初子さんを真剣に惚れさせるしかない。彼女の頑なな心をとかし、離れがたい存在になるんだ」

俺は額に手をやり、嘆息した。
簡単に言ってくれる。できるものならそうしているというのに。

「そもそも、連は女性から誘われるばかりで、扱いこそ上手いが、自分から女性を得ようと動くことがない。ここは初心に戻り、初子さんに誠心誠意尽くし、求愛するんだ」

愛……、そこで俺は考えてしまう。男女の愛で初子を見ているだろうか。可愛いとは思っているが。

「実際、初子さん側への保証として離婚という逃げ道を用意したのは契約上親切だと思う。だが、その逃げ道のせいで、初子さんは連と深い仲になるのをためらっている。イメージアップのために結婚したなら、離婚のイメージダウンも相応に覚悟すべきだ。本来は離婚しない方が、次期頭取の立場はいいだろう」