独占欲に目覚めた次期頭取は契約妻を愛し尽くす~書類上は夫婦ですが、この溺愛は想定外です~

入店し、ランチを三人分頼んで待っていると、撫子がすぐに合流した。

「初子さんも呼べばよかったわ」
「いや、支店長室に顔を出さずに来てしまったから。彼女は昼食に弁当を作っているようだったし」

言い訳しながら、運ばれてきたプレートを受け取る。今日のランチはカツレツだ。カツはカツ丼の方が好きなので、今度初子と食べに行こうとなどと考える。

「仲良くやってるんでしょう? 初子さんと」
「まあ、こういう形の結婚の割にはな。元々上司と部下としてひと月過ごしたあとだし」

それが上司と部下という線引きを明確にし過ぎてしまい、初子との溝にもなっているのだが。恭が興味深げに首をかしげて言う。

「連自身は初子さんを気に入っているんだろう?」
「気に入っている……というのはなんだか上から目線だが、まあ……」

言い淀む俺に、撫子が「あら、煮え切らない返事」と突っ込みを入れてくる。

「撫子は、彼女に、俺の立場が確立すれば離婚してもいいと説明したんだろう?」
「ええ、契約書には離婚後の金銭面の保証についてしか書いていないけど、口頭で説明してあるわ」
「後継者を産む必要もない、と」
「ええ」

俺は嘆息する。やはり、初子の中ではその部分へのこだわりが大きい。