午前中うちに予定していた仕事を済ませると、本部でシステム関連の打ち合わせがあった。上階に異動し、打ち合わせを終えた。
支店に戻る前に、恭のいる市場部門を覗いた。十二時、前場は終了している。顧客の資金運用を担うトレーダーが恭の役割だ。
俺を見つけて、恭が「お」という顔をする。
「昼食を誘いに来たんだけど、今日は愛妻弁当だったか?」
「いや、俺も連に話があった。少し外に出よう」
恭の表情から、あまり行内で言いたいことではないのだなと察することができた。
本店営業部と本部の入る文治銀行ビルから出て、オフィス街を歩く。昼時は多くの会社員が昼食を求めて外に出ているので、いっそう賑わっている。
「花田専務と川上執行委員から打診があった」
歩きながら恭が口を開いた。
「撫子の夫である俺を、次期頭取候補として擁立したい、と」
俺は頷いた。以前からそういった話は聞こえてきていた。花田専務と川上執行委員、その一派には関東近県の有力な支店長が数名いる。
「何度も断っているが、話だけでも聞いてほしいと酒席に誘われている」
「はあ」
「俺がその気になれば、本年度中どこかで議題として上奏すると」
「それで、どうだ。恭は俺の対抗馬になってくれる気はあるのか?」
「冗談じゃない」
恭が鬱陶しそうに答えた。
支店に戻る前に、恭のいる市場部門を覗いた。十二時、前場は終了している。顧客の資金運用を担うトレーダーが恭の役割だ。
俺を見つけて、恭が「お」という顔をする。
「昼食を誘いに来たんだけど、今日は愛妻弁当だったか?」
「いや、俺も連に話があった。少し外に出よう」
恭の表情から、あまり行内で言いたいことではないのだなと察することができた。
本店営業部と本部の入る文治銀行ビルから出て、オフィス街を歩く。昼時は多くの会社員が昼食を求めて外に出ているので、いっそう賑わっている。
「花田専務と川上執行委員から打診があった」
歩きながら恭が口を開いた。
「撫子の夫である俺を、次期頭取候補として擁立したい、と」
俺は頷いた。以前からそういった話は聞こえてきていた。花田専務と川上執行委員、その一派には関東近県の有力な支店長が数名いる。
「何度も断っているが、話だけでも聞いてほしいと酒席に誘われている」
「はあ」
「俺がその気になれば、本年度中どこかで議題として上奏すると」
「それで、どうだ。恭は俺の対抗馬になってくれる気はあるのか?」
「冗談じゃない」
恭が鬱陶しそうに答えた。



