独占欲に目覚めた次期頭取は契約妻を愛し尽くす~書類上は夫婦ですが、この溺愛は想定外です~

お屋敷二階の奥の部屋は真緒さんの私室のようだった。広々とした洋室は、女性的なインテリアでまとめられている。
私たちが入っていくとお手伝いさんがティーテーブルにお茶の準備をしているところだった。紅茶に軽くつまめる小さなクッキー。真緒さんがお手伝いさんに礼を言い、可愛らしい仕草でクッキーをぱくんと口に入れた。

「撫子ちゃん、初子さん、好きに摘まんでね。パーティーでも料理は出るけれど、父たちのお喋りに付き合っていると食べそびれるから。サンドイッチなんかも運ばせようかしら」
「ありがとう、真緒さん。でも、クッキーで足りるわ。さっきおじ様がバースデーケーキを楽しみにしていてと言っていたもの」
「ふふ、確かにケーキは楽しみにしていいわ。今日は品川ロイヤルからパティシエを招いて作っていただいてるの」

真緒さんが言いながら、お皿を持って私に近づいてくる。

「はい、初子さん。お嫌いじゃなければどうぞ」

遠慮しないように配慮してくれているらしい。私は頭を下げて、一枚クッキーをいただいた。ホームメイドのものとは思えないほど本格的なクッキーだ。さらにケーキは有名ホテルのパティシエに? 世界が違う。