独占欲に目覚めた次期頭取は契約妻を愛し尽くす~書類上は夫婦ですが、この溺愛は想定外です~

三センチヒールのパンプスを履いて出発する。徒歩で出勤できるのはありがたいことだ。会社員の行き交う東京駅近くを歩き、大手町のオフィスに到着する。四階までが本店営業部。それより上は文治銀行本部だ。

四階の一角にある支店長室が私の詰めるオフィス。
連さんより早く到着し、掃除をし、新聞や雑誌など朝チェックするものを揃える。前日に回ってきてある稟議書などもだ。八時少し前に今日も文護院連支店長がやってくる。

「おはよう、梢」
「おはようございます。連さん」

今日もいつもの流れで、予定の説明をしようと歩み寄る。すると、先に言われた。

「九時になったら、頭取のところを訪ねてくれ」
「はい。……何か急なご用事でしょうか」
「まあ、行けばわかるさ」

なんとなく煙に巻かれてしまった感じ。私は頷き、今日の彼の予定を伝える作業に入った。